(2)新市建設の基本方針
1)健全な心身と思いやりを育む健康・福祉のまちづくり<健康ふれあい都市>
  全ての人にとって豊かな市民生活の基本は健康にあるといっても過言ではない。幸い地域には、温泉やスポーツ施設、豊かな自然環境や食材など、健康に関連する様々な資源があり、積極的に活かした展開が望まれる。
 このため、健康の維持・増進につながる総合的な医療施設や健康管理施設の充実を図るとともに、子供から高齢者まで幅広い層の市民が様々な健康・スボーツ活動を日常的に楽しめるような環境づくりを推進する。
 さらには、自然資源・素材を活かし、触れる・遊ぶ・学ぶ・食べる・癒すなど、心身にわたる多面的な健康支援の環境づくりもめざしていく。
 また、より一層の高齢化が進む中、全ての市民が安心していきいきと暮らすことのできる地域社会の実現が重要である。
 このため、高齢者、障害者への福祉の充実を図るとともに、多世代交流の推進やバリアフリーのまちづくり、男女共生社会やすべての人の人権が尊重される社会実現へ向けた支援充実をめざしていく。

2)豊かな自然環境を育み活かすまちづくり<親自然やすらぎ都市>
  地域の魅力やイメージを支えている大きな要素は、海・山等の豊かな自然環境にあり、我々が受け継いできた豊かな資産・宝をよりよいかたちで子孫へと残していくことは、我々の責務である。
 このため、良好な海・川・ため池・山林・田園など、多彩な水と緑あふれる自然的環境・景観の保全を図る。
 また、各地域の自然資源特性を活かしつつ、それぞれが特色・魅力の強化を図り、多様な余暇活動ニーズに即した観光・レクリエーション・創作・交流等の場づくりや、自然や生き物とふれあえるような憩いと環境学習の場づくりを図るなど、自然に親しめる環境づくりへの積極的な活用を推進する。
 さらには、各地域に分散する資源・施設を連携する回遊・回廊空間のネットワーク形成を進め、地域の滞留性・回遊性の強化をめざす。
 また、今後より一層重要性が増してくる環境共生の推進をめざし、資源の有効活用等の地球環境にやさしいまちづくりなど、環境と調和した地域づくりを推進する。

3)地域の連携・交流を推進する快適都市基盤のあるまちづくり<快適にぎわい都市>
  地域全体で資源や施設を共有しあい、拠点的機能を分担・連携する中で、効果的に発展していくためには、地域間の連携・交流を推進する快適で利便性の高い都市基盤の整備・強化が重要である。
 このため、現在主な交通軸を構成している東西方向の幹線道路軸について、臨海地域等の渋滞綾和を図るとともに、連携が弱い南北幹線軸の強化を図り、各地域の円滑な幹線道路ネットワークの形成を図る。また、高速道路ICへのアクセス強化や、観光レクリエーション等の拠点整備や市街地拡大等と連動したアクセス道路の整備など、地域活性化の呼び水となる適切な道路基盤の整備を推進する。
 さらには、全ての人にやさしい交通ネットワークの形成による移動サービスの充実・公共施設等利用利便性の向上および環境負荷の低減をめざし、駅前広場の整備強化や鉄道・バス等の公共交通機関の利用促進、自転車・歩行者の快適な散策路・ネットワークづくりを推進する。
 また、中心市街地等の整備を行うとともに、産業、流通、健康、福祉、研究等、多彩な機能を有する新都市地区の整備を図るなど、にぎわいある都市を目指した拠点づくりを推進する。

4)安全で快適な生活環境を育むまちづくり<生活うるおい都市>
  定住促進のためには、日常的な生活空間において、安全で安心して生活できる環境づくりと、快適性や利便性の高い環境づくりを進めていくことが重要であり、地域それぞれの問題・課題の解消や、旧町中心部や山間部等の人口減少地域において、活力を維持し、地域の良さを育てていく魅力ある環境づくりが望まれる。
 このため、良好な公営住宅の供給や民間住宅の誘導、ごみ・し尿処理等の衛生環境の充実、防災・消防対策や交通安全・防犯対策の推進など、地域間バランスの確保に留意しつつ、生活環境の向上を推進する。
 また、自然環境の保全や市街地拡大との整合性に留意しつつ、上水道や多様な下水道整備等、安全で快適な生活のための基盤整備を促進する。さらには、身近な企園・広場の充実、利便性の高い商業・サービス環境の強化、まちなみ景観の魅力化など、市街地・集落環境のアメニティ化に資する快適でうるおいある環境づくりを推進する。

5)様々な産業が育つ創造的なまちづくり<産業いきいき都市>
  活力ある産業の育成には、いきいきとした創造的な人づくりが重要である。多彩な発明を世に残した地域の偉人「平賀源内」の工夫する心(源内マインド)を育て、地域の産業や住民生活の豊かさにつなげていくような展開が望まれる。
 このため、先端技術企業等の新たな産業誘致や、高度情報基盤や情報系学術機関等を活かした産業振興に努める。
 また、1次産業資源(農業・漁業・林業)の資源を活かした特産品の開発や付加価値化、地場産業(桐下駄、ボタン、漆器など)を活かした観光交流の促進、および自然・歴史等の多様な地域資源を活かした観光レクリエーション施設の強化・充実とネットワーク化を進め、既存産業の活性化と後継者育成を促進する。
 さらには、住民の発明・創作活動を奨励し、新たな商品展開等につなげていく仕組みづくりや交流促進、幅広い人材活用の場づくりなど、活気ある産業環境の育成・強化をめざし、地域の産業活性化につなげていく。

6)主体性・創造性・生きがいを育む文化・教育のまちづくり<文化わくわく都市>
  地域を知ることが地域への愛着の第一歩である。地域には、海・山の自然環境のみならず、お遍路さん・平賀源内・茶臼山古墳等の歴史資源・旧跡、様々な音楽等のイベント、田園や花の名所、地場産業など、多彩な地域資源があり、日常生活や身近な環境の中で様々に利用されるような展開が望まれる。
 また、今後の文化・教育環境の課題として、主体性・自主性の育成、創造性の育成、生きがいの創造が重要であり、若年層から高齢者まで幅広い市民がわくわくするような文化活動や地域社会活動に日常的に参画するような環境づくりが重要である。
 このため、地域資源周辺の憩いの環境づくりや案内・学習の場づくり、住民参加による多彩なイベントや、様々な地域資源を総合的に学習できる拠点施設づくりなど、地域資源を楽しく学べる場づくりを推進する。
 さらに、図書館等の日常的な生涯学習の場づくりとネットワーク形成、将来ニーズを踏まえた個性的な文化・創作の場づくり、教育・文化施設との連携やCATV等の情報基盤の積極的活用など、効果的な生涯学習の環境づくりをめざす。

7)市民参加と連携・交流のまちづくり<交流しみん都市>
  交流は、人の目を開き、個を高めるとともに、地域の結びつき・愛着を高める効果がある。
また、拠点都市としての情報発信も期待される。
 このため、地域で受け継がれてきた歴史・文化・スポーツ等の各種交流・イベント活動の継続的な推進を図るとともに、東讃の拠点都市としての広域・国際的な情報発信の推進や関西圏域との交流促進をめざした新市の新たなイベントづくりなど、地域の多様な交流活動を支援するにぎわいあふれる環境づくりをめざす。
 また、地域の主役は市民であり、環境・景観・福祉・防災・文化・教育等の様々な面で、市民がまちづくりに参画し、地域への誇りや愛着・人や地域へのやさしさ・にぎわい・持続的なコミュニテイ・助け合うシステムを育て、住みつづけたいと思える地域づくりを進めていくことが重要である。
 このため、CATV等の情報基盤を活かした様々な情報交流や、住民のノウハウを活かしボランティア活動等を多面的に支援する環境づくりを推進する。

8)新たな豊かさ高度な利便性を増幅する情報化のまちづくり<情報さきがけ都市>
  情報処理や通信技術の著しい進歩により、情報通信技術(IT)は人々の日常生活や社会活動のあらゆる部分に浸透してきている。この情報化への潮流は世界規模で進んできており、我国でも高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)が成立するなど、もはや国を挙げての積極的な展開となっている。こうした潮流の中で、すべての人々がITの恩恵を享受できる社会を形成していくことは非常に重要である。
 本地域においては、大川・寒川・長尾町において、既にCATV網の基盤整備が進んできており、高い普及率を誇っている。さらに、この情報通信網を利用した議会中継、在宅医療システムなどといった施策が積極的に展開されてきている。こうした情報化に対する先進性はこの地域の注目すべき魅力の柱である。この特性を活かし、さらに強化することで、新市においても情報化先進地域としての魅力づくりを図っていくことが重要である。
 このため、情報網の未整備地区について情報基盤の早期整備を実現し、市域全体に渡る情報基盤の拡大を推進するとともに、既に整備されている地区も含めて、日々進歩していく情報技術に対応するための情報技術施設の高度化を図る。
 また、生活を豊かにする各種情報サービスの提供、情報発信による創造的活動の促進、国際・広域的な市民・企業交流の促進、双方向・即時情報性を活用した医療・健康等の施策の強化、すべての人や企業がITを利用しやすい環境づくりなどといった、様々な方面にわたる都市や市民生活の魅力増幅を図る。