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管理者(病院長)あいさつ

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さぬき市民病院の沿革と展望

さぬき市病院事業管理者 兼さぬき市民病院長 德田 道昭

 当院は、1951年に内科、外科、放射線科を備えた「大川病院」として誕生し、その後、5町合併によって「さぬき市」が誕生した2002年4月に、現在の「さぬき市民病院」に改名しました。2012年1月には築50年以上経った旧館の改築工事が終了し、新棟(一般病床数175床、感染症病床4床、計179床)での診療を開始しました。

 当院の診療内容は、内科、外科、整形外科、精神科、外科、脳外科、整形外科、泌尿器科、眼科、耳鼻科、産婦人科、皮膚科(非常勤)、形成外科(非常勤)と多彩であり、さらに2006年からはリウマチ科も加わりました。

 さて、当地において当院が果たしている役割は、「一次医療機関」と「三次医療機関」の中間に立って‘双方向性’の医療を仲介する「二次機能病院」です。
 わかりやすく言えば、複数の診療科の集学的治療が必要な悪性腫瘍や、高度緊急処置が必要な心筋梗塞などの疾患は、「三次医療機関」である香川大学医学部附属病院や香川県立中央病院、高松赤十字病院に紹介し、治療が終了すれば当院に逆紹介されてリハビリを受ける、また状態が安定した患者さんは「一次医療機関」である開業医に紹介して慢性期療養を継続して頂くといった流れを作ります。もちろん、一般の急性期疾患(感染症、外傷、骨折など)は当院が初期対応することによって、高次機能病院が混雑するのを防ぐ調整機能もあります。

 さて、地域の事情を反映した「二次医療機能」を実現するには、医師だけではなく、看護師や他のコメディカルスタッフとの連携、いわゆる「チーム医療」が不可欠です。当院では、高齢患者が入院すると、ごく初期のうちに「身体機能」「嚥下機能」「褥瘡」「転倒転落危険度」「認知症」など様々な評価(総合評価)がなされ、それぞれリハビリテーションや嚥下チーム、褥瘡チーム、認知症チームなど、必要なスタッフが参集して看護方針が決定されます。
 また、高齢者にありがちな退院後の生活不安については、「総合支援センター」内のソーシャルワーカーと看護師によって、必要な医療・介護サービスの在り方について検討を加えます。高齢過疎化が進む地域では、退院後も独居で生活せざるを得ない患者も頻回に経験されるため、かかりつけ医が存在する場合には、「地域医療連携室」を通じて訪問診療や看護を要請することもあります。かかりつけ医が不在であれば、当院からの「在宅療養支援室」による訪問診療が求められる場合もあり、月間40件程度をこなしています。特に、今後必要になってくると思われる「在宅看取り」や「施設看取り」に関して、ACP(Advanced Care Planning)に基づいた連携の需要が増えてくると思われ、院内と同時に院外にも「多職種連携」の重要性がクローズアップされてきています。

 他の政策的医療事業に話題を移すと、‘産科医療’については、かつては年間250人程度の新生児が産声を上げていましたが、2019年9月の段階で、常勤医師の退職によって分娩機能が停止しました。しかしながら、‘分娩機能’過疎化が進む地域では‘希望の灯’と考えて、大学病院に何度も陳情を重ねた結果、2021年9月から経産婦の日中分娩を主に扱う“セミ・オープンシステム”が開始され、徐々に軌道に乗りつつあります。
 一方、 当院の‘小児診療’について特筆すべき点は、2003年4月から地域の医師会と協力して「小児夜間急病診察室」を365日間運営している点です。午後7時30分から10時00分までの3時間に、平日は5〜10件、インフルエンザシーズンには最大20件程度の受診があります。市民病院が地域の医師会と協力した形での当室の運営については全国のモデルケースにもなっていますが、肝心の小児科医の不足によって、制度が揺らぎ始めている点が悩みの種です。

 紙面の関係で省略しますが、これ以外にも、災害拠点病院、感染拠点病院、へき地医療拠点病院など、この地域において自治体病院である当院が果たすべき役割の多様さと複雑さには私自身も驚かされますが、今後、郡部における地域医療の中核であり続けるには、活躍してくれる医師、特に内科医を何とか増やさなくてはなりません。本ホームページをご覧いただいている医師で、地域医療に一肌脱いでみようかと思われる方がおられれば(内科に限りません)、是非、病院を訪れて頂いて私と話をしてください。

 以上、長い文章を最後まで読んで頂いた読者に感謝申し上げると同時に、地域医療を取り巻く環境が益々厳しくなりつつある中で、当院をご利用になる皆様には、当院の実情をご理解頂き、今後とも暖かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2022年6月

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